Ozu
伊予の小京都の風情を残し、
懐かしさも感じる盤泉荘。
取材地:大洲市 2023.06.22 up
伊予の小京都と呼ばれる大洲(おおず)。
古き良き町並みが広がる中、町を見渡せる斜面の上に盤泉荘(ばんせんそう)はあります。臥龍山荘からは横の坂道を登ると近道で、5分ほどの近い場所です。
フィリピンで貿易事業を経営していた松井國五郎氏によって、大正時代に建設された別荘で、大洲市の新たな名所として耳目を集めています。
まず目に飛び込んでくるのは、そりたつ石垣と立派な主屋。
主屋は大洲市指定文化財に登録されており、石垣はX状の独特な方法で積まれたデザイン性の高いものになっています。
庭で訪問者を待っているのはライオン像。
柳瀬焼きを源流に持つ「新やなせ焼き」と呼ばれるもので、大洲の有志によって復興された焼きものです。
主屋に足を踏み入れれば、広々として懐かしいたたずまいの部屋が出迎えてくれます。
伝統的で格式高い書院造りである一方、廊下には東南アジアから輸入された南洋材が使用されるなど、松井氏の意匠が施されています。
椅子に座って町の歴史に思いをはせたり、中庭の自然を楽しんだりするのもお勧めです。
さらに3階には、大正時代の日本家屋には珍しい広々としたバルコニーがあります。
閑静な町並みに、遠方には肱川の様子も見られるなど、立地の良い盤泉荘ならではの景色です。
主屋は日本らしさを感じられる建築様式でありつつも、あちこちに国際色豊かな姿が垣間見られます。
ここで気になるのは「盤泉荘」という名前ですね。
名前の秘密は建物の裏に。ここには横井戸があります。
管理の方に案内してもらうと、中はちょっとした洞窟のようになっていました。
なんと奥まで50mもの長さがあり、上水道が整備されていない大正時代には、岩盤から染み出した水をためて活用していたそうです。
このような経緯から盤泉荘と呼ばれています。
主屋の前の蔵では展示も行われており、盤泉荘の歴史を知ることができますので、こちらもお忘れなく。歴史を知ればさらに楽しめること間違いなしです。
大洲城や臥龍山荘も近くにありますので、ぜひ町を散策しながらこれらのスポットも訪れてみてください!