知る

壁一面に並んだ「坂の上の雲」の連載記事
おかえりに出会う旅。ー愛媛県
Matsuyama

未来にのぞんだ時代の軌跡
「坂の上の雲ミュージアム」。

取材地:松山市 2023.10.19 up

司馬遼󠄁太郎の代表作『坂の上の雲』。

松山市の中心部、大街道のすぐ近くにある「坂の上の雲ミュージアム」は、まち全体を屋根のない博物館とするフィールドミュージアム構想の中核施設として誕生しました。

本ミュージアムでは、愛媛県松山出身の俳人・正岡子規、兄弟であり軍人の秋山好古・真之の生涯を通じて、近代国家の仲間入りを目指す明治時代の日本を描いた小説『坂の上の雲』の世界が広がっています。

「坂の上の雲」にまつわる展示

小説の三人の主人公や明治時代にまつわる実物資料や書籍などを展示。企画展は毎年テーマが変わり、歴史や時代を興味深い観点から紹介しています。

各種イベントも豊富で、小説のリレー朗読会やコンサート、紙芝居なども開催されています。

デザイン性の高い建築様式

昔の道後温泉や駅の様子など、松山市についての展示もありますので、過去と今を比べたり、変化に思いをはせたりすることができます。

ミュージアム内のさまざまな展示

建築の美しさも見逃せません。建物は世界的建築家の安藤忠雄氏が設計を手掛け、安藤氏がイメージする『坂の上の雲』を表現した空間となっています。
設計時に書かれたメモや資料の一部も観覧できますので、建物と見比べると発見も多く、とても感慨深いですよ。

周囲の自然を映し出すガラス張りに建物

ガラス張りの外観は周囲の自然を映し出して溶け込み、デザイン性と環境の絶妙なバランスを見せています。建築に関心がある方もよく訪れられるそうです。

建物内にもさまざまな工夫が凝らされていますが、特に面白いのは中間部分の支柱が省かれた、珍しい構造の空中階段です。

目玉の一つ空中階段中間部分の支柱が省かれた珍しい構造の階段

各階はひと続きのスロープで結ばれており、ゆっくりと歩き、見聞きしたことをじっくりと考えられる空間設計になっています。

スロープでつながり、ゆったりとした空間

さらに「ライブラリー・ラウンジ」など、2階フロアは無料で利用でき、ミュージアムカフェもありますので、おいしい飲み物やお菓子をお供にゆっくりとくつろいだり、小説に関連した書籍を読んだりもできます。

ゆっくりと休憩できるライブラリー・ラウンジ

天候に関係なく利用でき、立地も良いため、観光のはじめに気軽に訪れたいスポットです。
造作物など一部の展示作品や館内の風景写真は撮影OKです。映えるスポットで、思い思いに写真を撮るのも楽しいですよ。

小説『坂の上の雲』に描かれた日本の歴史や人びとの生き方は、現代の私たちに示唆を与えてくれます。
坂の上の雲ミュージアムの展示には見どころがたくさんありますので、作品を読んだ方はもちろん、読んでいない方にもおすすめです。

近隣には萬翠荘(ばんすいそう)や松山城、秋山兄弟の生誕地もある

近隣には、萬翠荘(ばんすいそう)や松山城、秋山兄弟生誕地といった観光スポットもあります。実は秋山好古は萬翠荘を建てた久松定謨とフランスに留学をしており、親交がありました。
「この場所で実際にあった物語」を知ると、観光もさらに楽しくなりますね。

アクセスも容易ですので、ぜひ合わせて訪れ、歴史や文化を探求してみてください。